2011年05月24日

謎の集団

「これで、いいっすか?」


彼は、小走りにやって来て


ポケットから 小銭を取り出し


煙草と一緒に おっちゃんに渡した。


「おうっサンキュー!これで、ジュースでも飲みぃや」


男はいつもの如く、チップを貰い 礼を言った。


実をいうと このおっちゃんは ただの客ではない。


このお店には プロと噂されている客が、数名いて


このおっちゃんも その中の一人である。

そして、それらの人は お店から


出したコインの 数量を 制限されていた。

男は このお店に働いて、かれこれ半年程になるので


この謎の集団の事は もちろん良く知っていた。


だが、彼も高校の頃から


パチンコやアレンジボールを 打っていた訳で


学校を卒業してからは


日に、サラリーマンの


日当ぐらいは 稼いでいた。


しかし、このスロットマシンというものを


数回打った事は あったが


機械の全体的な造りとしては

パチンコと違い、機械の造りやゲーム性を 考えると


稼げる要素が、まったく無いように思えた。


確かに彼は このお店の 常連である友人数名から


このお店の スロットコーナーには
何かしらの方法で、絵柄を並べて


毎日の様に 稼いでいる連中が、いるらしいという噂を


常々聞いていた。


それに彼は スロットコーナーの スタッフという事もあり


集団の各々が、お金をあまり使わずに


コインを コンスタントに 出している光景を


日々、目にしていた。


だが、当時のパチンコ台は 現在のそれとは違い


単純かつシンプルな チューリップ入賞口を


組み合わせ台が、ほとんどで、


釘を ある程度読む事が、出来たら


簡単に 出る台を 見つけられたのだが、

当時、世に出始めたばかりの


この スロットマシンというものは


どう考えても 外見から出る台を 見つける事はおろか


コインを コンスタントに出す方法など 不可能に思えた。


だから 彼は これらの集団の事を


遊技場が、従業員にも 秘密にしている


お店側の“サクラ”と考えていたのだ。

















 序章 (2011-05-19 22:09)

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